キャセイパシフィックグループは、2022年度(1~12月)の決算を公表、キャセイパシフィック航空(CX)のパトリック・ヒーリー会長は、以下の声明を発表した。
「CXは、76年以上にわたって香港のホームエアラインとして、世界の舞台で香港を代表し続けてきました。CXは、香港と中国本土、そして世界中を結ぶ航空会社であり、香港の経済発展を支える重要な存在です。私たちは、新型コロナウィルス感染症の世界的拡大という最も困難な時期にもハブ空港としての地位を維持し、人と貨物の重要な流れが続くようにすることで、その役割を担ってきました。
CXは、新型コロナウィルス感染症の世界的拡大によって3年にわたる困難をのりこえ、中でも、2022年は前半と後半で全く異なるビジネス環境を経験することとなりました。年初のオミクロン株の出現により、2022年の最初の数か月間は、特に香港と中国本土において、旅行や業務上の制限がより一層厳しくなりました。これにより、旅客便と貨物便の両方を運航する能力が著しく制約されました。この状況は当社のビジネスに大きな影響をもたらし、2022年3月12日一日で全世界で運んだ乗客数が合計わずか58名であったという数字に象徴されます。
香港における新型コロナウィルス感染症の状況が改善され、5月1日以降、制限が徐々に緩和されたため、当社はフライト数と座席数を少しずつ回復させることができました。最も重要な市場状況の変化は、9月に香港に入国する乗客と香港を拠点とする航空機乗務員の検疫要件が解除されたことです。」
【業績】
「航空会社、子会社、関連会社を含むキャセイパシフィック・グループは、2022年に65億4,800万香港ドルの損失を計上しました(2021年:55億2,700万香港ドルの損失)。2022年の1株あたりの損失はHK111.3セントでした(2021年:1株あたりの損失HK95.1セント)。
航空会社および子会社の2022年下半期の業績は、同年上半期から著しく改善し、22億6,100万香港ドルの利益を計上しましたが、2022年通年では2億5,500万香港ドルの損失となりました。その大半が3か月前倒しで認識される関連会社の業績によるもので、62億9,300万香港ドルの大幅な損失を反映した結果です(2021年:17億1,000万香港ドルの損失)。その結果、2022年下半期の当社グループの損失は15億4,900万香港ドル(2022年上半期:49億9,900万香港ドルの損失、2021年下半期:20億3,800万香港ドルの利益)でした。
年初の厳しい状況は、当初、月次の営業キャッシュ・バーンに悪影響を及ぼしました。しかし、香港特別行政区政府が5月1日から渡航制限や検疫を最初に緩和したことを受け、2022年上半期末には営業キャッシュフローを生み出す状態に戻りました。下半期には香港でさらなる規制緩和が実施され、2022年下半期には営業キャッシュ・フローが黒字化し、通期でも黒字を達成しました。
2022年12月31日現在、当社の利用可能な制限無し流動資産は272億香港ドルとなっています。香港特別行政区政府が78億香港ドルのつなぎ融資枠の引き出し期間をさらに12か月延長し2023年6月8日までとすることに同意してくれたことに感謝します。これにより、当社の流動性をより柔軟に管理することができるようになりました。」
【今後の見通し】
「新型コロナウィルス感染症の世界的拡大による3年間の未曾有の混乱の後、私たちは今、香港が誇るべき、新たなCXを再建する段階にいることを嬉しく思います。私たちは、長期的な成功をもたらすと確信できる明確な戦略を持ち合わせています。
これを達成するために、私たちは接続の利便性に重点を置いています。これは、CXと香港、グレーターベイエリア(GBA)、中国本土、そして香港と世界とのコネクションを取り戻すことを意味します。
香港は、第14次5か年計画の下、国全体の発展において重要な役割を担っており、特に、国際航空ハブとしての香港の地位を強化することの重要性が強調されています。当社は、香港、中国本土、および国際的な旅行市場のニーズに対応すべく、フライト能力を復活させ、国際航空ハブとしての香港の立場を再構築しています。旅客航空会社のCXと香港エクスプレス(UO)からなる当グループは、2023年末までにパンデミック前の旅客輸送容量の約70%を運航し、2024年末までにパンデミック前の水準に戻すことを目標としています。
航空業界の状況は進化しており、CXは、お客様、従業員、そして香港の変化するニーズに応えなければなりません。私たちは、事業の再建に慎重かつ責任あるアプローチをとっています。乗務員配置、人材のリソーシング、スケジュール、カスタマーサポート・ホットラインに関して改善点があったことを認識しています。私たちは、再建を続ける中で、このような問題を最小限に抑えるために最大限の努力を続けていきます。
新型コロナウィルス感染症の世界的拡大による厳しい3年間は、当社の財務状況に大きな影響を及ぼしました。香港特別行政区政府および株主の皆様の継続的な支援に感謝いたします。事業の再構築に伴い、当社のキャッシュフローは向上しています。今後は、香港の国際航空ハブのさらなる発展を支えるため、3本の滑走路の開通に伴う投資の必要性を考慮し、資金管理に関する慎重かつ慎重なアプローチを継続します。
香港国際空港の第3滑走路体制が2025年初頭までに全面稼働する予定で、これにより、競争の激化とともに、エキサイティングな機会が新たな段階に入ることになります。また、私たちは、グレーターベイエリアに拡大したホームマーケットとしての可能性にも大いに期待しています。香港が活気ある同エリアに経済的に統合される中、私たちはその役割を果たしたいと考えます。」
【感謝の言葉】
「取締役会を代表して、76年以上の歴史の中で最も激動の時代を乗り越えてグループを導いた最高経営責任者としてのオーガスタス・タンの多大なる貢献に感謝の意を表したいと思っています。また、ロナルド・ラムの最高経営責任者への就任、そして新たな責任を担う他の新リーダーシップチームにも、大きな喜びを感じています。後継者育成は、常に当グループの中核となる強みとなっています。
過去3年間、お客様から多大なご支援をいただいたことに感謝します。私たちは、可能な限り早く便数を増やし、より多くの目的地を追加するために継続的に取り組んでいます。
また、すべての従業員、特に第一線で働く従業員に心から感謝申し上げます。非常に困難な状況にもかかわらず、彼らは私たちが誇る業界トップクラスのサービスをお客様に提供し続け、私たちの航空会社、そして私たちの故郷が世界と安全につながっていることを維持してくれています。」
キャセイパシフィック航空会長
パトリック・ヒーリー
2023年3月8日、香港